石破茂首相とトランプ米大統領の会談から見えるAIが取って代われない通訳者の役割
人間ができることは、AIに代替されつつあります。しかし、圧倒的な学習能力を備えたAIでも、人間にしか出来ない質のいい通訳には取って代われないことを、今回の石破首相とトランプ米大統領の会談から垣間見ることが出来ました。
石破茂首相とトランプ米大統領の会談では、故安倍晋三元首相の英語通訳で、トランプ氏のお気に入りとされる外務省の高尾直氏が通訳を務めました。
高尾通訳については以下の様な逸話があります。
勉強熱心な高尾通訳は、会談が近づくと、徹夜をしてでもトランプ大統領の演説ビデオを観て、彼の言葉のクセを徹底的に研究していた。トランプ氏の意図を正確に理解して訳すのはもちろん、一度、トランプ氏のジョークを安倍首相が理解できなかった時に、真っ先に高尾通訳が当意即妙な返しをして、トランプ氏を大爆笑させ会談も一気に和んだ。
安倍、トランプ両氏の蜜月関係の構築に貢献したと評価されており、両氏がゴルフをした際、カートに同乗する場面もあった。トランプ氏が「Little Prime Minister(小さな首相)」と呼んでいた。
始まる前には、各方面から不安視されていた石破茂首相とトランプ米大統領の初の対面による日米首脳会談だが、日本のテレビ各局が伝えた評価はおおむね合格点。実はそこには高尾通訳が〝影の主役〟を務めていた。
安倍首相は「日本にとっては陛下がご即位されるというのは大変な、歴史的な出来事でございます。陛下がご退位されて新天皇が即位されるのは200年ぶりのことになります。初のお客さまがトランプ夫妻になるわけですが、今から楽しみにしています」と述べた。高尾通訳は最後のフレーズを「and also under the new Emperor, President Trump and Madam First Lady will be the very first state guest」と英訳した。トランプ夫妻と述べたのを「マダム・ファーストレディー」と、王室風に敬語で表現した。高尾氏は首相発言の行間を読み込み、知性を感じさせる英語表現にする「スーパー通訳」であった。
弊社I N Fシンガポールとしても、通訳の質がお客様の会談・会議の成否さえ左右することを肝に銘じて、通訳案件に応じた優秀な通訳者の手配、事前準備も含めた確かなコーディネートに務めてまいります。